2006年07月21日

6月第一例会「スウェーデンに学ぶ地域主権への道」講演録と質疑応答

2006年6月に開催された例会「スウェーデンに学ぶ地域主権への道」の講演録及び質疑応答の記録が出来ました。

この場におきまして掲載させていただきます。

◎講演録

○講演
レーナ
みなさん、こんにちは。レーナです。
私は、89年から東京に住んでいます。スウェーデン出身で、良くスウェーデンにも行きます。
今日は二人で講演をすることになっていますので、最初は私の方からスウェーデンの国の取組を簡単に紹介をして、その後にバルブロさんと一緒に具体的に地域でどんな取組をしているかを紹介して行きます。
というのは、やはり国の方針というのが分からないと地域での取組も分からないと思うので全体を理解して頂きたいと思っています。
私自身を簡単に紹介しますと、82年に初めて日本に来て、京都に2年半住んでいて、そこで日本を知って日本をとても好きになりました。その後、5年間スウェーデンに戻って、そこでスウェーデンでは環境保護運動が盛り上がっていましたので、環境問題に目覚めて、そして、また日本に住んでみたいと思った時にスウェーデンでは取り組んでいる人が多いんですけど、日本はどうかと思って、私は、日本の環境のために、世界の環境のために日本で頑張りたいと思って89年に東京にやって来ました。
スウェーデンの取組の紹介に入りたいと思うんですが、今日は、将来の話をしたいと思います。
それは、なるべく私はそう思っているし、スウェーデンの人も日本の皆さんも将来は希望のある将来であってほしいと思うんですね。明るく、良くなるという気持ちになるようなものであって欲しいと思うんですけれども、しかし、気候変動とか世界的な環境問題が沢山あるので、暗くなりやすいんですね。たぶん。私は、日本でスウェーデンの取組をずっと紹介しているんですけれども、これは何故始めたかと言いますと、スウェーデンを最初に出た時に、環境問題をとても中心にしていて、暗い感じでしたけれども、しばらく日本にいてもう一度スウェーデンを見るとそれがとても建設的な前向きな取組に変わっていて、希望を与えてくれるようなものになっていましたので、これを問題を中心で暗い感じの日本に伝えて行きたいなと思いました。
希望を与えてくれるものは何かと考えた時に、一つの思い出を話したいんですけれども、子どもの時にスウェーデンに住んでいた時の事です。自分は何歳だったのか良く覚えて無いし、だけど、ある日学校から帰って来て、興奮していて、母に「分かった。今日、分かった。将来はもう決まっているものじゃ無くて、白紙みたいなもので、私が自分で関わって創るものだ。」というのが分かったんですね。学校で何があったのか分からないんですけれども、あの時の発見はとても大きいものでした。それはとてもうれしいことで、楽しいことで、私に希望を与えたものだと思います。
今、世界的ないろんな環境問題が起こっていたりしていて、グローバライゼーションも進んでいるし、大きな社会変化がとても早く進んでいる中で、誰でも思うことだと思うんですね。私たちは、一体何処に向かっているんだろうかと、それは、わたしがスウェーデンで育った時に分かったことは、ただ待っててどうなるんだろうか、待つんじゃなくて、自分たちで決めて行くんだと、そこがとても大切なところだと思います。
スウェーデンは国として福祉国家だということを聞いたことがあると思うんですけれど、スウェーデンは40年代ころから、人間を中心に人間を大切にする福祉社会に力を入れて、数十年創って来たというんですけれども、60年代、70年代になると、環境問題に気付いて、そして、80年代、90年代になるとこれは全世界の問題で、地球環境が危ないということに気付いて、福祉という意味を良くスウェーデンは考えたというか、福祉というのは年を取った時に良い生活が出来るとか、或いは、病気になった時に、必ずケアがあるとかそういうことですけれども、そういうのは、きれいな空気とか、きれいな水、健康を守る食糧とかが無ければ、あんまり意味が無いんですよね。その一番、基本の基本のところにスウェーデンは気付いたんです。そういうのを持って、私達の生活の基盤になっているこの自然を大切にしなければ何も福祉は無いということに気付いて、そして環境を大切にしながら、人も大切にして良い社会を創って行きましょうと。それは、持続可能な社会と言われているんですけれども、もっと簡単に言いますと、こういうことですね。「環境」と「社会」と「経済」この3つの部分をチャンとバランスを取ったような社会を創るということです。
じゃぁそれをスウェーデンがこういう社会を目指そうと考えた時に、まず明かなことは、自然界のルールですね。これは元々あるものなので、私達が簡単に変えられるものでは無いんです。それは日常生活にいろいろ気候が変わったりすることでいろんな農産物が出来るし、これはもう既にあるもので、私達はその中で社会を創らなければならないと、その中でスウェーデンは一つの国ですけれども、全世界に他の国もあるのでその国々と仲良くしながらやって行かないと行けないですし、スウェーデンは「EU」という共同体に入っているので、その中でも仲良くしていかなければならないです。
それを理解した上で、じゃぁこの中での25年くらい先のスウェーデンは、どんな社会であって欲しいかと考えたんです。これは90年代中頃ですけれども、皆さんの資料の中にもあるんですけれども「バックキャスティング」という手法を使ったんですね。それは何かと言いますと、普通は、これを持っているからどうやって行こうかと考えがちですけれども、そうじゃなくてもっと想像力を良く活かして、2021年という時に、今と関係なく、どういう社会であって欲しいかというビジョンを描いてみます。それを描いて共有してから現時点にもう一度戻って、そこで現在の状況はどうなっているんですかとよ〜く調べて、それを分かった上でもう一度ビジョンのところに自分を置いて、そして自分が今いるところからビジョンの中のスウェーデンと、それはどんな国かと、ここに行くためにはどうすれば良いのかともう一度考えるんですね。そこから進む道が見えて来て、それを具体的な計画に行動計画にして行きます。それは実際に国がどういう風にやったかと言いますとスウェーデンの環境保護庁:行政の機関が、一番最初にやったことは、その時にもう決まっている政策、そのまま行けばスウェーデンの環境はどうなるかという研究をしたんですね。シナリオを作って。その結果、このまま行けば環境が悪くなるばかりだと分かったんですね。そこでこの方針を変えないといけないんだとはっきりしたので、そこで環境保護庁は将来の戦略を創る、バックキャスティングを使うノウハウを持った人がいなかったんです。どっからそういう人を連れて来たかというと、防衛戦略研究所というのがあるんですけれども、スウェーデンの軍隊が、何が起こるか分からない中で、どういう風に予算を使って投資をするかと、そういう戦略を創るためにこのバックキャスティングを使ったんですね。ですから防衛戦略研究所からの研究者を環境保護庁に持って来て女性だったんですけど、彼女は4年間に渡ってバックキャスティングのプロセスをリードしたんですね。彼女に実際に合って話をする機会が合ったんですけれども、そのプロセスを行う中で、例えば日本が同じことをやろうとした時に何が一番大切ですかと聞いたところ、それはこういうビジョンを作ってから、それを実現していく人たちを一番最初の段階からそのプロジェクトに参加してもらうことだと言いました。というのは、中央政府の方でビジョンを作ってそれを社会各界に「こんなすてきなビジョンを作りました。これを実現しましょう。」と言っても誰も動きません。でも一番最初からみんなが参加して、一緒に考えて、一緒に興奮して、一緒にディスカッションしているとみんながそのプロセスの中に引き込まれて、それで、これを実現しようとなった時にみんなが付いてくるんですね。これが鍵だと彼女は言ってくれました。
そしてこういうバックキャスティングをキチッと4年間掛けて行って、その結果出たもの、議会が採択した目標というのは、それは、いろんな環境問題を起こしてしまったのは、今生きている人たちですが、次の世代にはそれをなるべく引き渡したくないんですね。解決してあげたい。ですから、一世代以内にスウェーデンで一番大きな環境問題を解決して、その形の社会を次の世代に引き渡そうと議会が、国会が決めたんですね。プロジェクトには2021年という名前がついたんですけれど、これはリオデジャネイロの地球サミットという92年の会議でアジェンダ21というのが採択されたので、そして21世紀を前にしていたので、それは象徴的な名前だったんですけれども、この一世代以内、25年以内として目標が決まったのは、2020年までですと、その中の一つの気候変動に関わるものは、2020年までというのは、いくら考えても無理ですので、それだけは2050年まで。じゃぁ、これは本当にスウェーデンは実現出来るのかと、これから分かることですけれども、難しいと思いますけどもこれが、国の政策の基本になりました。1999年のことです。
そしてこの目標、これも資料の中にあるんですけれども、スウェーデンの主な環境問題を解決した形のスウェーデンというのはどんなものかというのをシンプルに表現したものです。この中に、気候変動とかきれいな空気とか、多様性豊かな森林とか、良い地下水ですとかいろいろあります。
これらの目標を国の議会が採択した上で、これを実現するためにいろいろ取り組んでいます。
その一つは、様々にあった環境法を一つの環境法典というのに纏めました。日本には環境6法というのがあるんですけど、こんな分厚い本で、それを一つの一本だけの法律に纏めたようなものです。
 そして国の戦略を創って、これらの目標を達成するために国のすべての機関に役割分担をしました。
国で目標を決めてから、今度は本当に市民のレベルまで、これはみんなのことだから市民のレベルまで落とす必要があるんですけれども、国の目標ができてから、県のレベルに落として、それぞれの県の特徴にあった目標を作ることになっています。県と言ったときに、皆さんの資料の中にあるんですけれども、地域というところの行政レベルですね。そこから各自治体の中でもその自治体にあった環境目標を作成することになっています。このプロセスについて後は、バルブロさんの方から詳しく具体的にどういう風に行われているか紹介してもらいたいと思います。
それから、この講演を前にいくつかの質問を頂いているんですけれども、その中の一つは、「スウェーデンは税金の高い国で税金が高いのにみんな何故わりと満足した生活が出来るのか?」と。その答えの一つを簡単に言いますと、スウェーデンの市民は、その税金がどのように使われているのか?そしてそれは、それは自分のためになっているというのをチャンと知っているんですね。それはスウェーデンの政治が、とても透明度が高いのです。環境関係の行政と
一つの例を出すと、これは当たり前のことですけど、市民が選挙で政治家を選んで、それらが国会議員になってそれで国会が出来るんですね。国会から政府が出来る。市民が選んだ政治家達が、行政機関を通じて国を運営して行くんですね。環境に関しては、ここに2つ出ているんですね。持続可能な発展省と環境保護庁、この持続可能な発展省というのは元々環境省というところです。しかしスウェーデンは、全面的に持続可能な社会を目指すので、今年の初めからこれが持続可能な発展省に変わりました。この中には、環境行政だけではなくて、エネルギーも入ります。原発も含めて。建設も入ります。特に住宅とかの部分も入りますのでかなり大きな省です。
スウェーデンは日本と違って、日本だったらこの省と庁が一つになっているんですね。でもスウェーデンはこの、もう一寸後に説明しますけれども、とにかくこれは国の行政機関が議会が決めた政策を執行して行きます。そこで市民は義務があったり税金を払わなくてはならないというのがあるんですけれども、市民には、これは自分たちが政治家を選んでそれらの政治家がこういう風に決めているので、自分に義務とか責任があるというプロセスがよく見えているから、その理由も明確でその中で市民は納得しています。
それで次の選挙の時に、不満であれば みんなの議論を聞いてそして良くないと思った政党を落とします。
先ほど言った2つの行政機関ですけれども、省の方は政策立案をするところで、毎年、この環境保護庁の方に政策のガイドラインを伝えてその政策を執行して行きます。
ですから環境目標について言えば、環境目標が決まるまでは省のところですが、それがチャンと達成されているかどうかをずっと確認していくのが環境保護庁のところです。
環境目標は、どれくらい達成されているかは、継続的にモニタリングしています。そしてそれを市民にとても分かり易い形で報告をしています。
ここでは15になっているんですけれども16個目が最近追加されたので16ですね。
中期目標があるので、中期目標についてですけれども、一番左のところを見ると目標の全体の今の達成状況をスマイルマークで表しているんですね。
ハッピーな顔か、悲しい顔か、そうすると4つ以外は割と良い方向に行っているんですね。だけど上手く行かないところもあります。
一つは気候変動、もう一つは、化学物質汚染による環境の汚染ですね。ダイオキシンとかです。もう一つは、海とかの富栄養化ですね。
これらについてはスウェーデンがいくら頑張っても自分達だけでは出来ない問題ですね。国際協力が欠かせない問題。これが非常にスウェーデンとしては、小さな国ですので達成しにくい。もう一つは森林ですが、これは国際的なというよりも再生に大変時間が掛かると、伐採してから時間が掛かると。こういう風に市民にとっても分かりやすい形でずーっと報告しています。
これはスウェーデンが一歩一歩、これらの目標に向かって明るい将来を創ろうとしているところです。
今のスウェーデンというのは、本当に大きな改革の真っ最中だと言えます。
その部分もいろいろあって、その一つは、環境教育に非常に力を入れています。というのは、持続可能なスウェーデンの中に生きる人たちが今は子どもですから、その社会の中でどうやって生きるかを彼らになるべく教えなくてはいけないんですね。その社会の中で必要な能力を与えなくてはいけないんですね。ですから、環境省は持続可能な発展省になりました。それから自治体ですけれど、スウェーデンは50年代から分権化をとても進めています。スウェーデンの自治体は、世界で一番分権化が進んでいる国だと言われたりしています。それは何を意味するかと言うと、例えば課税権を持っているんですね。30%位人々の所得からもらって、その20%が直接自治体が使えるんです。その他の10%が地域の国の出先機関に支払うという形になっています。それからこれは最近の新しい目標ですけれども去年の末にスウェーデンの首相が2020年までにスウェーデンは石油依存から脱却すると目差すと発表しました。それは今半年間で石油依存脱却委員会が、その具体策を今年の夏に発表する予定です。
 こういうことを国を挙げて、社会の大きな改革を今目差しているところです。これは、社会、経済、環境の3つの側面のバランスが取れた社会。別の言葉で言えば人と人との平和であって、人と自然の平和もあるというそういう社会であると言えると思います。
 これがスウェーデン全体の今目差しているものを説明したものですけれども、それを具体的に地域で市民の中で企業の中でどういう風に実現されていくのかという、それをもう一寸具体的に深く理解するために、今日はスウェーデンから短期間日本に来ているゲストがいるんですけれど、今から彼女と一緒に伝えて行きたいと思いますので、バルブロさんを紹介したいと思います。
(拍手)
バルブロさんは、ウーメオという北方地方のまちに住んでいます。
後でもう一寸彼女の仕事について紹介しますけれども、まず、どういうところから来ているかということを案内します。
ウーメオのある地域は、ヴェステルボッテン県と言います。21県ある内の一つです。
ウーメオというまちは約10万人のまちです。
これは、ウーメオのまちで、まちの中を流れている川です。
ヴェステルボッテン県は、どんなところかと言いますと、バルト海に面しているので海があります。そしてかなり北ですので、冬は長くて、寒くて、でも湖が凍るとスケートも出来ますし、スキーもいっぱい出来ます。農業もバルト海側ではかなり盛んですが、大麦とか家畜、牛とかチーズの生産、ジャガイモの生産などがメインです。それから大産業となっているのは、林業です。大変多くの森林があって、そしてエネルギー源も大変豊かに持っています。水力発電が大変この北の方で多いです。そしてとても美しい景色のある国立公園があります。
ヨーロッパでいうと大変広い地域で、野生の自然が残っているというのは珍しいことです。ここに先住民でサーメというトナカイを飼って生活している人たちもいますので、独特の文化があるところです。
バルブロさんの話に入りたいと思います。
まず、スウェーデンの市民の一人として、また、働く女性でその仕事、小さな会社の視点の両方の視点から話して頂きたいと思っています。
では、まず市民というところですけれども、早速、皆さんから頂いた質問の一「スウェーデン人は税金が高いのにハッピーな生活が出来るんだろうか?」そのところを市民の立場から聞きましょう。

バルブロ:こんばんは。まず言いたいことは、福祉国家のスウェーデンで育ったことは、とてもありがたいことだと思っています。もちろん、スウェーデンでは税金についての議論がとても盛んです。一番市民が議論していることじゃないかと思います。議論しているのは、どれくらいがいいのか?どのように使っているのかを議論しています。しかし、国民の大多数は非常に連帯感の、そういう価値観に基づいた税制を持つべきだということを正しいと思っているんです。
もしスウェーデンのそういう高い税金に基づいた福祉制度が無ければ、私がここにいるというのが考えられません。というのは、私の両親はあまりお金が無くて、福祉制度の中でなければ私は勉強できなかったんです。
というのは、スウェーデンのすべての教育、大学を含んで学費は無料です。それが一つですけれど、もう一つは、払った税金が何に使われているのかはっきり見えるし、自分たちからそれに影響を与えることが出来る。ですからいろいろ不満があるけれど、割と政治家を信用しているんですね。戻って来るものがある。スウェーデンの自治体での政治システムの中では、政治家は何かをしようとする前にどういうつもりでいるか、何故か、どういう形でそれをやろうとしているのかを明確に示さなければならない。そしてそれをやった後、結果はどうだったか全部報告しなければならないんです。私は、彼らに預けた大切なお金、税金を良い形で使ってくれなければ次の選挙は別のところに一票を入れます。今年の秋に総選挙が行われるんですけれども、沢山の政党の中で1党だけが、税金のレベルの議論をしています。他の政党が訴えていることは、税金をどうやって使うかという話をしているんです。
レーナ:ということで、一市民から見て高い税金に納得しているんです。ちなみにバルブロさんが払っている税金って何パーセントくらいですか?
バルブロ:34%です。
レーナ:やはり高いでしょうか?まあ、普通の人はそれくらいです。
では、市民として見た話でしたけれども、今度は彼女の仕事の話をしてもらいたいと思います。
スウェーデンはこういう風に大きな枠組みを作って、こういう国になりましょうと、じゃぁそれが小さな会社が活動しているまち、仕事がどういうことになるんでしょうか。
彼女の仕事というのは、14人の職員のコンサルタント会社で働いているのです。その会社は環境教育とか、環境戦略とかを専門にしてます。特に中小企業がISO14000とか、環境管理制度を導入しようとする時にその支援をしたり、そしてその中で必要となる環境教育を彼女が担当しています。それは中小企業相手、それから自治体を相手にして、それから学校の取組、学校が目標に向かって貢献するための支援という仕事もしています。で、そのエーサムという会社ですけれども、彼女はその会社の所有者の一人でもあります。
バルブロ:一つやっている事は、環境法典というのが、1999年に施行されたもので、新しい環境法体系ですね。中小企業に取ってかなり難しいことですので、それを理解するための支援をしているのが一つです。小さな会社でこのあたらしい大きなことに対して特別な環境の部署が無い会社では、やはり難しいですね。小さな会社として環境目標だけじゃなくて、それがチャンと経営目標にもなるような形で、効率の良い管理制度の目標を設定することにもアドバイスをしているのです。
それは何を意味するかというと、省エネをしようという目標を立てたら、それは節約にもつながるとそういう形の両面の目標の立て方をしています。
こういう環境法が厳しいので何かいけないことをするとすぐに罰金が付いたりしますので、これも経営に影響を与えてしまいますので、企業はとても意識をしていて無駄な罰金とかが付かないように気を使っています。
レーナ:環境法典の中では、新しく出来たのは、すべての事業を行っているものが環境にどのように影響を与えているのか知らなければならないんですね。だから知らなかったということでは全然済まないんです。これは例えば保育所でもこれがそうだから、例えば掃除に使っている化学薬品とかそれが環境にどういう影響を与えるかっていうことを知る義務があるんですね。それがあるから、環境教育をとても必要としているんですね。そういう時にエーサムの社員が環境教育を行います。それが企業のサポートになるんですね。
エーサムという会社の目標は、環境に配慮しながら利益を上げられる事を証明することです。
そのためには、強くて想像力をいっぱい持つ必要があります。それほど簡単では無いですけれども出来るんです。
こういう環境法典が出来たから罰金が付くかもしれないとか、それはとても身近な心配ですけれども、スウェーデンの国民の間で、将来に向けてみんな何を心配しているんでしょうか?
バルブロ:スウェーデンの人々が最近とっても気にしていることは、石油が無くなったら、手に入らなくなったらどうしようということです。
この頃初めて、ガソリン価格が上がってみんなが実際にガソリンを使わないで、車を置いておいてそれぐらい痛いところまでガソリンの価格が上がってきました。これをどういう捉え方をしているかというと、安全面です。石油が高くて手に入りにくくなると国の状況、世界の状況がどうなるのかとEUの中でとても真剣に議論されています。
ということで、私たちが顧客として持っている多くの企業が、石油の使用を減らすことで、費用をなんとか減らせないかと、燃料の使用を減らすことをとても真剣に考えているところです。
レーナ:これから聞きたいのは、バルブロさんが住んでいるウーメオとその地域では、石油がなくなったらどうするんだと、どういう風に考えてどういう取組をしているんでしょうか?
バルブロ:大変心配をしていて、これは誰かが、政府とかが解決してくれるっていうのを待っていられない。自分たちからなんとかしなきゃと考えて、地域の産業、例えば林業ですけれども大変多くの輸出をしているから、その運搬に非常に頼っています。で、石油があまりにも高くなると運搬が高くなるので、スウェーデンの木材を誰も買えなくなってしまいます。フォードの車を販売している人がいるんですけれども、この人はとても熱意を持っていて、彼が、石油危機を乗り越えるためのプロジェクトを立ち上げています。
スウェーデンの北方地方の人たちは、とても謙虚な人々で、あんまり日本人みたいに何も出来ません。あまり威張らない人たちですけれども、今回は、森から取れるセルロースから、エタノールという新しい燃料を作って、これで世界一になろうと宣言しています。ということで二つの県が一緒になって、バイオの生物資源から石油の代わりになる燃料を作る。そして地域で2020年までに燃料自給をしますと宣言しています。
これはどういう風になったかというと、この問題に向かっていたときに、地域にどんな資源があるかを考えたんですね。一つは森林がいっぱいあるということと、3つのとても良い大学があります。人材があるということですね。
ですからこれを立ち上げた2003年は、これは具体的にどうしようとさっぱり分からなかったんですけれども、こういう大学の専門家と林業関係者なども入れて知恵を出し合って、その結果としてセルロースからエタノール燃料を作るパイロットプラントが出来ました。これからは本格的なプラントを3つ作る計画が進んでいます。そのエタノール燃料を作って輸出を考えているのでは無く、それを地域で使ってそしてこういう風に燃料で自給するその生産、それを経済効率の面とか、こういうシステムの知恵を今度、ノウハウとして他の国に販売しようと考えています。
で、このプロセスの中でとっても重要なことは、県行政、自治体行政、大学、学校、市民団体、もちろん企業もみんな一緒になって取り組んでいることですね、これを通じて、実は失業があるところが多いんですけれど、このプロジェクトを使って雇用を作ろうという、それが大きなねらいの一つです。
実はこのプロジェクトを立ち上げてやっているとものすごい関心が集まって、問い合わせも多いのですけども、困るぐらい、まず、やるって言ったことをやって、それをきちんとやってから世界に向けてもっと伝えて行きましょうと既に関心が集まっています。
この地域の資源、森林があるからそれを活かしたものですね。南部のスウェーデンでは有機の廃棄物が多いとか、そこからバイオガスを作って車を走らせるというようなこともやってるし、或いは、エネルギー林とか穀物、そういう他の植物を使って燃料を作る方法もあります。ですから地域によって取り組みは違います。
これは大学との深い連携で行ってるんですけれども、このプロジェクトに参加してやっていると、いつも大学に向けて主張していることは、こういうノウハウを持っていることが鍵で、それを開発させて常に先端にいないと止まってしまうんですね。だから大学とかそこの人材とかが、もの凄い柱になっています。
レーナ:地域にある資源という話を大変多くしているんですけれども、そういうところがスウェーデンは面白いんですね。
特に自治体が自立をしているので、非常に個性のある取組があちこちでされています。
もう一つ紹介したいと思いますが、ある小さなまちの話です。そこで自分たちの資源と将来何が出来るかと。
バルブロ:自治体とか地域のコミュニティはとても自立していて、そこの政策の決定権を持っていてそれをフルに活かしているので、その一例ですね。
ある私が生まれ育ったところの近くの小さな村だったんですけれども、この村をもっと開発して元気にして行くためには、ここにある資源はどんなものがあるかと真剣に考えました。そしたらそれは冬に会議をやったんですけど、みんな回りを見て、ここに多いのは、暗さと寒さと氷と雪と、この村というのは、
ユッカスヤルビというところですけれども、日本でも有名になっているんです。というのもそこにアイスホテルというのが出来てるんです。皆さんどうでしょうユッカスヤルビのアイスホテルというのを聞いたことがあるという人(挙手を求める。)、はい、かなり日本人も行っているそうです。ですからこの村の人たちは冬の真っ暗の中で会議をやったときにそこにそういうのが出来て、世界、日本でも有名になる観光地になるとは全く思わなかったんでしょう。百人くらいしか住んでいない村が、これだけの苫小牧の人たちが知っているというそういう村になったというのは、なかなかすてきな話ではないでしょうか。
レーナ:こういう地元の自然を生かして成長して行きましょうというのはとても大切なところですね。今日は、少し苫小牧を車で回って案内してもらったんですけれど、日本は一度来たことがあって、これは2回目ですね。日本のあちこち見ているんですけど、今日の感想を言ってもらおうと思います。
バルブロ:いつも地域開発の支援の仕事をしているので、苫小牧もそういう目で見ていましたが、来る前は、苫小牧のことをあんまり知らなかったんだけれども、産業、工場が多いまちだなぁとそれ位は知っていました。しかし、少し回っていると、ウトナイ湖というところ、湖のきれいなところ、自然のきれいなところを見ましたし、少し離れたら森もいっぱいあるというのも見ました。で、実は、その森が私の地域の森ととっても似ているのでそれを見ていて親近感があってとっても喜びました。スウェーデンは、写真でわかったようにかなり美しい自然が残っているんですけれども、そういうのを持ちながらスウェーデンの人々は、全世界をみるとどんどんそういうのが無くなってしまっているというのに気づいています。ほんとに静かで、野鳥もいるという美しい自然というところは段々珍しいことになっています。
私の地域で かなりの多くの企業がやっていることは、エコツーリズムですね。やはり人の影響があまり無い、美しい、うるさい街から離れたところでリラックスできるところに行きたい人は多いんですね。ですからスウェーデンの私の地域では、森と自然は生産に使われているものでありながら、人を癒したりするものでもあります。というのもエコツーリズムというのも一つの産業というか、経済活動で利益につながるものです。
大変難しい問題は、その自然の法則の中で、みんなで認識してこの自然界のルールの中でやって行きましょうというのをそういう形でやっていくための議論がとても盛んですね。それほど簡単なことでは無いんですけれども、大変苦労しています。
ということで苫小牧には、価値の高い自然も資源でもある憩いの場にもなる森も沢山あるとか、いろんな資源があるというのを見たんですね。
レーナ:私達が一緒に日本を旅行しているときに、良く聞くことがあるんです。みんなが日本には資源が無いっていうんですね。
バルブロ:何回も聞いていててどうかなと思うんですけれど、私からみれば、第1の資源は、日本人、人だと思うんですね。スウェーデンは、国土はわりとあるんだけれど、人口は900万人です。日本はその数倍の人口を持っているんですね。旅行していると沢山の人にあって、学歴は高いし、能力はいっぱいあるし、意欲も、しっかりした考え方も持てるし、スウェーデンは、国の戦略の一つとして環境技術で行こうと、実はその部門がとても成長している。輸出が増えている。しかし、スウェーデンは30年間、環境の取組をやって、こういう技術が生まれて来ているんですけれども、日本を見るとここも同じように取り組んで頑張ろうとすれば、競争になればスウェーデンは置いて行かれるんじゃないかと心配しています。
日本人は、良く働く、働く時間が長い、それもあちこちで聞いているんですけれども、だけどこれから退職する人たち、団塊世代の話も聞いているので、退職してこれからいっぱい時間があるという人たちもいるんですので、これも一つの資源ではないでしょうか。スウェーデンでも実は団塊世代みたいなものがあります。大変多くの人たちが、これから退職して行きます。スウェーデンでは、今度この人達がいっぱい時間が出来て、何をするんだろうと、これは大きな可能性として見ているんですね。
レーナ:では、自治体に皆さん興味を持っていると思うので、自治体行政について教えて頂きたいと思います。
バルブロ:というのは、事前にもらった質問があるんですね。自治体職員のキャリアとは?というのがあったんですね。じゃぁ、スウェーデンの自治体はどうやって募集をしているかと言いますと、普通の企業と同じ形で、一般向けに広告を使って募集をするんですね。もちろん働くところで必要な知識とか学歴とかを持った人を採用します。一番高いポストについては、全国に対して募集するので、別にそこに住んでいる人である必要は全く無いんですね。一番優秀な人を持って来ます。後、自治体職員の中では、一度に多くの退職者が出ているんです。じゃぁ、彼らが退職した時に代わりになる人がどういう人たちか今一寸悩んでいるところです。スウェーデンは、出生率はそれほど高くないんですけど、日本よりは、高いんですね。昔に比べて生まれてくる子供、労働市場に出て行く若者の数が少ないので、これからは一番良い人材を確保するための競争が厳しくなります。
スウェーデンの若者はかなり語学力もあるので、スウェーデン国内だけでは無くて外国とも競争をしているので、スウェーデンに魅力的な仕事が無ければ外国に行ってしまいますので、ですから自治体も企業みたいに一番優秀な人材を確保するために魅力的な職場になる努力をしないといけないんです。
レーナ:一つ付け加えると、年功序列、年を取るに連れてポストが高くなるという日本の制度は、スウェーデンでも同じですかというのがあったんですれども、スウェーデンは徹底的な能力主義、あんまり年齢に関係無く、能力のある人は、どんどん上がって行きますし、自分自身がキャリアづくりとしてどんどん良いところに行きますね。そういう仕事を変えるというのは、日本ではあまり良く思われていないのですが、スウェーデンではそういう風に積極的に良い仕事というのを探してキャリアを作るというのは、一つの良いこととして見られています。
バルブロ:実は、能力中心の競争があるので、高齢者に対する差別が起こるくらいになっているんですね。
政治に立候補をしようとしている女性が、まだ40代の女性は、もっともっと若い人を出しましょうということで、なかなか立候補出来なかったんです。そういうことも起こったりしています。ですから選挙の政党の候補者のリストがあるんですけれども、そのトップに載れなくて、その上に来たのが20歳くらいの女性で、移民して来た女性です。そういう背景を持った人が入ったんですね。だから市民に見えたのは年齢ことじゃないかなと見えたんですね。より若い人を政治に入れようという流れがあります。まぁ、政治家の内部の話は知りませんので他の理由もあったのかもしれないんだけれども、でも社会の一つの現象として能力とか若さを追求しているということです。
レーナ:若さの話になったのですが、スウェーデンは2020年まで、環境の問題を解決した持続可能な社会を創ろうとしているんだけれども、その中で生きていく人たちは、今はまだ子どもですね。子ども達に対してどういう教育をしているのでしょうか?
バルブロ:大変大きな問題を抱えた社会があるので、間に合わないかもしれないので、とにかく良い教育で子ども達に良い能力とか力を付けようとしていますのでスウェーデンは、教育に大変力を入れています。
どういう人を育てようとしているかと言いますと、知識を持った人だけではなくて、知識を使って行動を取れる人、そしていろんな能力を持った人、いろんな問題を解決出来る人、そういう人を育てようとしているんですね。こういう考え方をしている理由は、社会はとても早く今変化しています。将来何が起こるか分からないんですね。ですから、そういういろんなことが起こって、どうなるか分からない社会を生きるためには、判断力とか予想できなかった問題を
解決する力が必要だと思っているからですね。スウェーデンも小さな国で、国際社会で生きてるし、スウェーデンから出て行く人も多いですし、他の国との競争もしているので、そういう人材を育てようとしているんですね。
レーナ:バルブロさんと日本を旅行していると、なんか日本人は、マニュアルが好きですね。こうしましょう。項目がいっぱいあってマニュアルに沿って行けば良いと、でも、将来の社会にはそんなマニュアルは無いです。何が起こるか分からないので、マニュアル無しに、自立して、自分の判断力と行動力を持った人を育てなければならないと、そういうのがスウェーデンの教育の考え方です。
バルブロ:やっぱり行動能力のある人を育てるためには、ただ机に座って知識を与えるだけでは全然だめですね。スウェーデンの学校で一番注目されているのは、いろんな教え方、グループワークとか、自然の中に出かけてそこで学ぶとか、いろんな形で学ぶという、これが議論の中心になっています。
そしてその中で、若者が社会に出て行って社会づくりにも積極的に参加してもらいたいと思っているので、そういう自分の力で社会づくりにも影響与える
方法も教えています。良く議論が出来て、判断力があって、選挙のある時にきちんと自分の意見を一票として入れるというような若者。そういう風に
自分が関わって、社会のあり方を決めて行くということが出来るとそこから希望が生まれて来ると思うんです。子ども達に希望を与えるのは、学校の教育のとっても大切なことだと思っています。
レーナ:それを私が一番最初に話した自分の経験に結び付けるとほんとにそうだと思うんです。将来はまだ白紙で私も一緒に創って行くんだと分かった時の喜びなんですね。ということで私達の話を終わりにしたいと思います。バルブロさん遠くからありがとうございました。
バルブロ:ありがとうございました。
質問
A:環境についてですけれども、どの位満足度があるのかとかですね、そういったことで充実度、にこにこマーク、笑顔マークがあったように見えましたけれどそうやって問題を解決していくという手法は、政治的に言えばベンチマークスという解決方法で住民満足度を測って行政を行う手法でありますけれども、政治的に見てもスウェーデンでは、ベンチマークスのような形で住民満足度に活かされるような行政を行っているのでしょうか。
レーナ:目標の達成については、先ほど紹介した行政機関が監視しているんですけど、市民がどれだけ満足しているのかという図るツールとしては選挙ですね。こういう風に指標を持って、モニタリングをして キチッと伝えるというねらいは、ただデータを作るんじゃなくて、みんな努力をしているその結果が少しづつ見えてくる、それは良くない状況から少し良くなったと、まだ解決はしていないけれどもこの一年二年頑張ったと、少しは良い方向に行ったというのがはっきり見えると、みんなでやってて意味があったと納得して努力をします。だからもちろんスウェーデンの人も我慢しているんですね。
個人的にはこの税金が上がったとか良くない方向、面倒くさいことになったけれども全国の取組がキチッと見えるとみんなのために良いことになっているんだと、私は一寸我慢すれば良いとそれで納得するんですね。で、そこでビジョンの作り方を説明した時に、プロジェクトリーダーだった女性のアドバイスを聞いた時に、その後の実現の時のために、最初の段階から多くの人に関わってもらうのが鍵だと言っていました。そこで理解してその理由、方法、内容を全部理解した上で、みんなが納得して続けて参加するんですね。 
質問
B:2つ質問したいと思います。一つはですね。スウェーデンは国をあげて地方自治ということを取り組んでいらっしゃるので国の政策と地方自治が同じ方向を向いていると思うんですね。それでこの環境の16項目というのが出ていると思うんですけれども、例えば、今日本では、軍隊の再編の問題で地方が住民投票をやっていてそれと国策とがぶつかっている部分がありますね。それでお話を聞いていると政策が間違っていたり、違うなって思った時は、次の選挙に
次の選挙に生かすというお話でしたけれども、次の選挙まで待てない時、地方自治と国策とが違っていた時、どういった形で地方の声を纏めてぶつけていったら良いのか、その具体的な方法がどういう風に取られているのかというのが一点です。もう一つが、持続可能なということは、今日本で言われているようなクリーンなエネルギーを使いましょうというのが推進されていますが、クリーンというのがあくまでも元に戻せる、自然の循環の中に入れられるっていうことが、とても大きな、重要なポイントだと思っているのですけれども、そういった面では、核の問題っていうのは最終的に本当にクリーンに出来ない。どうしても最終処分のところで地中に埋めることしか出来ないっていうふうに日本では行われていますね。考えられています。そういった面で核の推進を行っているのかどうなのか。きっとそうではないと思うんですね。バイオのこととか自然エネルギーのことに取り組んでいますので違うと思うんですが、6番のことですね。安全な放射能被爆環境を作るというのが載せられていますので、具体的な内容を教えて頂きたい。
レーナ:選挙では間に合わないっていうことでは、実は、スウェーデンでは市民活動がとても盛んです。今はこういう目標が出来ていて、割といい方向に行っているので市民のデモとか抗議活動とかこの頃はそれほど多くないんですね。でも、70年代とかはそういうのがものすごく盛んでした。例えば、ダムを作るから座り込みをするとか、公園の木を伐採するからそこは24時間守るとか、そういうのがいっぱいあったんです。今でも本当に市民が気になる問題があれば、また街に出るんです。またデモをするとか、新聞に投稿記事を書くし、政治家に手紙を送るし、政治家に会うし、国会の前で座り込みをするし、そういう日本でも使われている手法を使います。ただ、この頃は、あまり必要がないというのもあるんですけれども、そういうスウェーデンの市民の力があります。スウェーデンの市民は、そういうのをやって成功している部分もいっぱいあるんですね。こういう政策が出来るというのも市民運動が100年の歴史があるからです。ボトムアップで上がって来ているんですね。ですから選挙だけでは満足しないんです。緊急の時には、いろんな形で動きます。
原発の問題ですけども、実は私達は同い年です。スウェーデンは原発を持っいるんですけれども、1980年に原発を止めるか推進をするかの国民投票を行ったんです。で、それぞれこれは初めての選挙だったんですね。普通の選挙ではなくて、高校生の時に、18歳で成人になるんですね。高校生の時にいきなり原発をどうするんですかと考えさせられたんです。投票率はとても高い選挙で、本当に学校の中でも職場でも地下鉄の中でも家族の中でもエネルギー政策が議論された時だったんですね。これが二人にとってひとつの政治問題とか社会問題への目覚めだったんですね。それがあって、私達はここにいるっていうこともあるかもしれないんですね。その選挙では、計画中、建設中のものは造って、その後は廃止して行くっていうのが決まったんですね。12基まで造って、その2つを廃止しています。スウェーデンの法律は、原発の建設だけじゃなくて、それを計画することも禁止しています。そこで、スウェーデンに住んでいるバルブロさんに現状を話してもらおうと思います。
バルブロ:これは、こんどの秋にある総選挙の一つの議論のテーマになるそうです。今の政権は、社会民主党とプラス環境党と、左の党ですけれども、今の政府は、この方針を維持して行きましょうという主張をしています。で、その代わり風力発電とか省エネの建設とかに力を入れています。野党のいくつかが、共通の選挙に向けての組織を作って、彼らは原発を続けて使いましょうという主張をしてるんですけれども、その中の政党のひとつは、ずっと原発反対だったのが、続けて使いましょうと最近主張を変えたんです。法律で禁止されているからそう簡単に推進の方向には行けないんですけれども、スウェーデンにはウランがあるんですね。ウラン採掘はないんですけれども、久しぶりにウラン採掘もしても良いんじゃないかという議論も始まっているんですけれども、だけどスウェーデンは自治体では、住民投票が出来るのでそれを許す自治体はないだろう。廃棄物の問題もありますので、スウェーデンは、どこにそれを最終的に保管するというのをまだ決めていません。だけど、場所を探していて、いくつかの自治体で調査をしているんですけれども、それらの自治体で住民投票をやっていて何処もだめです。だから、ウラン採掘という話になればそれもたぶん、自治がしっかりしているから無理でしょう。
質問
C:教育問題、特に政治に関しての教育問題ということで、私、北欧とかそういう、ハンディキャップを持っているものですから スウェーデン、フィンランドとか政治に関してのことを結構知っているんですけど、例えば日本は政治に無関心な若者が多いと言われていまして、フィンランドだと思うんですけれども高校生のうちにプレ投票という、要するに総選挙の時に高校生に投票をやらすとか、そういう面で政治的な教育をするとかそういう部分で スウェーデンはどうなんでしょうか? あともう一点、大人も政治に無関心というところがありまして、地域に大切なこととか、核問題であるとかというところで住民投票がすごく有効だというお話がありましたが、地域の一人一人が政治に関してみんながやろうという意味で住民投票は有効でしょうか?
レーナ:政治教育ですけれども、私自身の経験を言いますと、学校で模擬選挙をやっていたんですね。私は、太陽党とか手を挙げて、それで選挙が行われている間に学校でも選挙をやっていたし、もう一寸高い年齢になるとチャンと存在する政党のパンフレットを読んだりとかしていました。私自身も既に高校の頃は、友達もみんなとっても政治に関心を持っていて、その投票日の夜、結果を待って、みんな集まってテレビの前で見てたんです。
バルブロ:人々の政治に関わる関心を高めるひとつの面白い事例を紹介しますが、それはカーリックスという北の自治体のところです。そこでたまたま自治体の予算が余っていたんですね。そこで住民にこれをどうやって使いましょうという問いかけをしたんです。それは、学校で使うのか、どうするのか、それとも減税するために使うのか。まず、結果からいうと、減税をしますかということに対しては、誰も減税を考えなかった。もっと良いことに使いましょうとか。でもこの住民投票で若者がとても参加してたんです。何故かと言いますとカーリックスでは、コンピュータを使ったインターネットを通しての投票のシステムを導入しているんですね。それを導入したから家で投票出来るから若者が突然、多く参加しました。それもひとつの手段かもしれないんですね。投票の仕方を変えること。スウェーデンでもやはり投票するというのは、わざわざ何処かに行って投票しなければいけないので、そのやり方によって投票率も変わるんですね。
レーナ:私の日本に住んでからの経験をひとつ言うと、スウェーデンで投票しに行くっていうのは、いつも定期的に決まっているんですね。総選挙というのは、4年に一回あって、それは9月の3つ目の日曜日に決まっているんですね。その前の夏の終わり頃に選挙のキャンペーンがあって、そして市民としては、やはり投票するというのはとても大切なことだという意識があって、ひとつの責任だと、まじめに出かけるんですね。投票するというのは、義務では無い。権利です。権利だけれども責任でもありますと、そういう意識がスウェーデン人の中にとっても根付いていると私は思います。 


◎質疑応答とコメント

2006年6月9日(金)苫小牧公演会 質問への回答/コメント 
(レーナから)

Q1.行政、市民、企業等、異分野の協働を成功させる方法は?
C.ボットムアップで、協働でやることを含めて決定プロセスに参加してもらう。自分たちでイニシアティブをとって決めていくと実施に対する責任ももつようになる。そうすると呼びかけ人が期待していた方向と違う方向に進む可能性もある。その覚悟も必要だと思う。

Q2.スウェーデンは、公務員が日本の3倍いますが、多いと思いませんか?
C.福祉や教育、介護など、公共で行うことに対するコンセンサスがあるからその事業分野が大きくなって、職員も多くなるのは当然だと思う。日本は公共で行う範囲がより狭いから職員の数も少ないのは当然ではないか。

Q3.福祉国家なので働かない人も多いと聞きましたが、全員、税金を払っているのでしょうか?
C.福祉は皆のためだから皆が税金を払うのが当然。働かない人は失業保険や職業訓練、職業をかえるための勉強などがある。全員を労働市場に復帰させるのが狙い。社会保障を受けながら病気や怪我などで休んだり、早目に退職する人もいます。収入がある時は税金を払うのが基本。人々は仕事を持ちたいのが普通ですが、もちろんその仕事内容にもよる。

Q4.16の目標達成度は、誰が、どのような基準で評価しているのか?
C.目標達成の中期目標がいろいろあります。その達成状況のモニトリングは環境保護庁がして結果を定期的に公表しています。

Q5.代表制民主主義に疑問を感じていないか?
C.質問が分かりません。「限界」を感じているということでしょうか。
それなら感じている人はたくさんいます。民主主義をより幅広いものにするための工夫がいろいろ導入されています。例えば一部の市議会では市民1人でも直接提案ができるシステムを導入しています。

Q6.原子力発電に対する国民や住民のレベル別のコンセンサス形成に対してどのようにしているのか?
C.1980年は国民投票を行いました。政治家たちはいまでもその結果をなるべく尊重するかたちにしています。でも長い時間がたったし、いろいろ状況が変ったので国民の気持ちが変っているかもしれません。そのためにまた国民投票をしようかという議論も一時期ありました。現時点は未解決の問題です。

Q7.「持続可能」という言葉の意味は?
C. 国際的に採用されている定義:
「持続可能な開発(Sustainable Development)とは、将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なうことなしに、現在のニーズを充たす開発のことである。」─1987年、環境と開発に関する世界委員会報告(ブルントランド報告)「Our Common Future(われら共有の未来)」

Q8.環境に対する考え方は、スウェーデン人全般の思考なのか?
C.スウェーデンでも無関心の人、理解のない人はいます。ただ、それらがマイノリティーになってきたと思います。

Q9.環境への意識は、宗教に影響されているものなのか?
C.スウェーデンは割と無宗教になっている国です。あるいは、宗教がとても多様だと言えます。無宗教の人の一部は「自然」をもっとも「神」に近いものと見ているかもしれません。バルブロさんの言葉では、「スウェーデン人は自然に恋をしています」

Q10.環境問題に関してヨーロッパ諸国に対しては、どのように働きかけをしているのか?
C.スウェーデンは95年以来、EUに加盟しています。その加盟国として、なるべく環境政策に影響を与えることができるようなポストを手にいれることも努力して、EUの環境政策をよりよい方向にもっていく努力をしています。長い間、EU委員会の環境委員だった女性、マルゴット・ワルストルム(Margot Wallstrom)はスウェーデン人です。(ウーメオ市近くの出身)。

Q11.日本人の国民性をどう思いますか?
C.レーナもバルブロも思っていることの一つは、日本人はマニュアルが好きです。マニュアルなしには行動をしない。スウェーデン人はマニュアルなしに自分たちで考えて判断して行動します。日本はそうなっている理由は教育だと思っています。日本人がマニュアルなしに行動できないということではないと思っています。

Q12.スウェーデンでは、“バッシング”というのはないのですか?(出る杭は打たれる)
C.あります。でも個人のイニシアティブが評価されることもあります。二つの価値観が共存していると思います。

Q13.スウェーデンでは、若者の国外流出というのは無いのか?
C.外国での留学はとても多いです。外国で仕事をするのも珍しくないです。だけど、スウェーデンの生活環境もよく、特に家庭をもって子供を育てる時はスウェーデンはよいので、「よい仕事」「よい生活」の両方をもつためにはいろいろバランスのとれた判断をしていると思います。

Q14.日本人の消費行動の特性についてどう思うか?
C.無駄な包装が多いこと。使い捨ての消費文化がまだまだ強いです。

Q15.スウェーデンの高い税率は、勤労意欲に影響を与えていないか?
C.人生は仕事だけではない。高い税金を払ってよい生活ができれば、そのよい生活のためにも働くのは納得できる。

Q16.自治体合併の経緯について聞きたかった。
C.スウェーデンも多くの自治体合併はありましたが、大分前のことですから、今のスウェーデンで議論されていることではない。
補足:
スウェーデンの自治体合併の経緯
1862年 地方自治令 自治体数約2,500
1952年 第一次改革 自治体数 1,037 人口規模3,000人を目途とする。
1962〜1973年 第二次改革 自主的な合併
1974年 政府による強制合併により 自治体数287になる。
現在のスウェーデン自治体の平均的な人口規模30,000人(最小規模3,000人)
スウェーデンでは、自治体の行政能力、権限の受け皿という意味では広域化は良かったが、広域になりすぎて自治体と住民の距離が遠のいたとの反省もあり、「近隣政府」、「地区委員会」という中間の組織が出来ている。

Q17.スウェーデンの議会議員は、自分の職業も持っていて、議会は夕方行われるというのを聞きましたが、それが、市民が参加し易い事につながっているでしょうか?

国会議員は皆フルタイムで議員の仕事をしていると思うけれども、議員は一生することではないので、もともとの職業があってそれにいつか戻るというのが基本的な考え方です。自治体の場合、フルタイムで政治家の仕事をしているのは「執行委員会」(市議会の中から選ばれた自治体の内閣みたいなもの)の数人だけです。ほかの議員はほかの仕事をもちながら、政治家はパートタイムだけです。そのために参加しやすいかたちになっています。政治家は選挙で選ばれ任期も限られているので、いつ政治家でなくなるか分かりません。ですから政治はあまり職業にすべきではないことが一般的な認識だと思います。また、普通の仕事をもつことで政界以外の社会のこと、人々のことを理解できる。市民に近い立場にいることができる。

posted by 苫小牧JC 例会/事業案内・報告 at 09:35| 北海道 雨 | TrackBack(2) | 例会/事業報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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スウェーデン
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